少し前のことですが、新聞の投稿欄にお子さんのおられない夫婦の深い愛情を感じる文章が載っていました。ご覧になられた方も多いと思います。

ある夫婦が花の展示会に行ったときに、美しく咲き誇る花の前で、プロの写真家に写真をとってもらったんです。とてもよくとれていたそうで、奥様はうれしかったんでしょうね。

家に帰って、以前やはり、プロの方にとってもらった写真を思い出して探したら、ちょうど10年前の写真だったのだそうです。

写真は正直です。二枚の写真を見比べているうちに、夫婦は、自分たちの老いに気づいてしまったんですね。

ご主人がぽつんと「10年後も生きているかな?」と、言ったとたんに、奥様は悲しくなってしまったんです。一人になってしまうかもしれないという、恐怖に近い悲しさを感じたのでしょう。

子供のいないお二人に取って、お互いはこの世で一番大切な相棒と表現しておられます。この相棒という

言葉は、特別な意味があるんでしょうね。ご主人への愛おしさがとても感じられます。

ご主人の「10年後も生きていられるかな」という何気ない言葉にショックを受けた奥様ですが、徐々にそれを、すごく前向きに捉えるんですね。

何気なくすごしてきたけれど、残りの時間が少なくなってきたんだと気づき、だったら、これからの毎日を丁寧に丁寧に、大事に過ごしていこうと、捉えたんです。毎日を後悔のないように、これまでよりももっと、もっと大事に過ごそうと決めたんですね。

結婚したら、子供が生まれて、子供を育てあげたら、孫が生まれて・・・・なんていうのが当たり前の結婚感としてありますが、子供のいない夫婦もいいですね。お互いだけが頼りなんです。おとうさん、おかあさんとしての夫婦ではなく、ずっと夫と妻だけなんですよね。何もかもそろっていても、相手に不満を感じている夫婦はたくさんいます。

年を重ねてもずっと、夫をいとおしいと思い続けているなんて、素敵ですね。

この文章を読んでいると、奥様のご主人を思う気持ちが、行間に表れていて、きゅんと胸が熱くなります。