朝日新聞の土曜日版Beに、作家の小池真理子さんが、「月夜の森の梟」という、エッセーを書いておられるんですね。

彼女は同じく直木賞作家のご主人、藤田宜永さんを病気で亡くされたんですが、出逢ってから、亡くなるまでのエピソードや、亡くなってからの彼女の気持ちが、淡々と描かれていて、ご主人を本当に愛されていたんだなと、ひしひしと感じます。

12月5日の記事は、「夫には春風になれなかった」と題されたエッセーでした。

彼女は、ご自身の父親には、穏やかで、何でも一人でこなし、問題も起こさず、春に吹いてくる暖かな風のような感じの、春風みたいな子供だったようです。

人に向かって感情を爆発させることができない性分だったようで、まあ、自分の本当の気持ちを表に表すことをしなかったそうです。

その彼女が、心の中にあることを何でも話し、怒りも悲しみも、不安も苛立ちも、ご主人には表すことができたんですね。

作家同士の夫婦ですから、議論から喧嘩になることもしょっちゅうあったようですけど、それほど素直になれるお相手が、夫であり、妻であるというのはうらやましいですね。

ご主人が闘病中に、神経過敏になっていたせいで、彼女に絶望感を苛立ちながら投げつけてくるんですね。

彼女はご自身のお父様がなくなるときには、優しく看病して、春風みたいな女の子を演じられたのに、ご主人の前では、春風を演じられず、一緒に絶望の淵に行ってしまうんですね。

夫婦の気持ちが一体化してしまったんですね。

それって、すごい愛ですね。なんかうらやましいです。